フランク・キャプラ「素晴らしき哉人生」(1946)人間の善意の美しさと生の素晴らしさ。星の視点で描かれ、どれほど人がつながっているのかを体感させてくれる天使からの贈り物
2016/07/09
フランク・キャプラ「素晴らしき哉人生」(1946)という映画を観たことがない人がいたら、はやく観たほうがいいです♡わたしは、フランク・キャプラを初めて知って、観てみましたけれど、素晴らしい作品で、わたしは号泣して、人生というものが、星の視点で美しく描かれて、こんな名作があったのか、わたしが知る全ての人にこれを教えなければならない、と言うような気持ちになって、今こうして筆を執っているのは、翼のない天使が、わたしを急き立てているに違いない、とまだ夢見がちなのです。それも、この映画のおかげなのです。
この映画は、これまで多くの人間の魂を養い、影響を与えてきた作品だということがわかります。ばかばかしいところはひとつもなく、本当に面白いです。初めのシーンで、上空から人々の祈りが、色々な場所から聞こえて、それを星々が聞いているのです。そして星々がお話しているところ、たまらないですね、すごくいいですね。そして、まだ翼の無い天使が召喚されて、ひゅーっと星が飛んできて、主人公を助けるように言うのですね、そうして、主人公のお話が始まるのです。この翼の無い天使が、すごくコミカルで純真で面白いです。片時も離さず、マーク・トェインの「トムソーヤの冒険」を手にしているような天使なのです。天使が出てくる有名な映画をいくつか見たことがありますが、この映画の影響もあると感じました。 クリスマスのシーンがラストで、これは、ディケンズの「クリスマスキャロル」という名作とお話の構造は同じで、その影響も見えます。文学的な構造もしっかりしているお話です。このブログで取り上げた「星の王子様」や日本人ならば誰もが知る宮沢賢治の「銀河鉄道」と同じ層に属する視点が、心地よいです。もちろん、そんなことは関係なくて、ただ映画として素晴らしいです。絶叫したいくらいなのです、街の中に出て、「いえーーーーーーーーーーーーい!!!!!」と言いたい気持ちなのです。
世界を旅したいと思っていた主人公は、不幸や縁が重なり、家業を継ぐことになります。彼は、外の広い世界に出て行きたかったのです。しかし、地域の人達を助けるために、あまり儲からない家業に就きます。何度も、彼には外の世界に出て行くチャンスが来るのです。そのたびに、迷い葛藤しながらも、彼は、貧しくも人々のために働く道を選びます。そうして、成功してきた、と思われたクリスマスに、部下が大金を落としてしまい、 絶望に駆られます。そのお金がないと、家族や地域の人を護ることができず、お金を私的流用した疑いで、自らも刑務所に入らないといけないような状況なのです。そうして、翼のない天使が現れ、彼が生まれていない世界へと誘います。そこでは、彼がいないということだけで、全く違う世界が展開されています。ここのところは、是非映画を観てください。そうして、彼は、存在するということが、多くの人間に影響を与え、一人の人間がいないだけで世界が変わることを体感します。そうして、現実に戻ったときの彼の喜び、そして、これまで彼が助けてきた人たちが、彼のためにお金を寄付しに集まります。書きながらも涙がこみあげます。熱い水が、わたしの身体を駆け上ってきます。彼が人々のために尽くしたことで、人々は感謝の念を忘れずに、今度は彼を助けます。人間の善意は、なんと素晴らしいのでしょう。こうしたイメージがある限り、人間は発展していき、どこまでも美しくあるに違いない、この星はなんと素晴らしいのでしょう。街に出て、「いえーーーーーーーーーい!!!!!」と叫ぶ主人公のシーンが大好きです。わたしはこの映画に出会えて、本当に幸せです。素晴らしきかな?素晴らしき哉、すばらしきかな人生!!!